日赤医療センターの代表番号に電話すると、希望すれば産科の助産師につないでもらうことができます。
助産師さんと話をすると、やはり日赤では日常的にVBACを行っていおり、妊娠中から分娩まで通常の経腟分娩と扱いは特に変わらない印象でした。
当時すでに17週で日赤の分娩予約は20週までだったので、一度医師と話してから判断しようと18週で日赤に初診に訪れました。
産科部長にVBACについて聞いてみた
初診は部長クラスの先生と話す唯一のチャンスなので、例の子宮破裂に関する報告について聞いてみました。
年間のTOLAC(VBACを試みること)実施件数は聞いても教えてもらえませんでしたが、「100のオーダー(100~数100件)」とのことでした。
そして、今のところ報告にあった19週での赤ちゃんの死亡例以外では深刻なケースはないとのことでした。
ただし、こんなことも言われました。
「最近、別の病院(おそらく系列病院)でTOLACで赤ちゃんの死亡例があったので、ウチで起こらないとは言えません」
広尾の日赤では母子の死亡例がほとんどない理由を聞くと、こんな答えが返ってきました。
「危険を察知したらすぐ帝王切開に切り替えますし、分娩室内に出術室があるので対応が早いというのはあります。でも、単にこれまで運が良かっただけかもしれませんし、死亡例が出ればVBACの実施は取りやめるかもしれません」
VBACの妊婦はそれ以外の経腟分娩の妊婦では対応に違いはあるかも聞いてみたところ、
「妊娠中の管理から分娩にいたるまでVBACだからといって違いはありません」
とのことでした。緊急帝王切開に対応するため点滴のルートは確保しておくとのことです。
VBACは危険だから分娩時に医師が常に張り付いている、といった話をネットで見ていたので「そんな管理で大丈夫なのだろうか」と正直不安に思いました。
子宮破裂は超音波検査などである程度はリスクを予測できるのかも聞いてみたことろ、
「妊娠後期になると子宮の壁がかなり薄くなるので、超音波などで破裂を予測することは不可能です」
とのことで、破裂するかしないか運でしかないと分かりました。
日赤でVBACできる条件
前回帝王切開だった妊婦には初診で「前回のお産が帝王切開だった方に」という紙が渡されます。
そこには、前回のお産が帝王切開だったという理由だけで反復帝王切開は選択しないという方針とともに、前回帝王切開の妊婦がVBACできる条件についても書いています。
【日赤のVBACの条件】
●今までの帝王切開が1回
●前回の帝王切開で子宮を横切開
●子宮筋腫等で子宮筋層を深く切開していない
●狭骨盤でない
●胎盤位置異常がない
●骨盤位でない
●分娩予定日までに自然陣痛が来ている
これに一つでも当てはまらないと帝王切開になります。
また、VBACの場合は分娩誘発やいわゆる陣痛促進剤が使用できないので、お産が進まなかった場合も帝王切開になります。
このように、前回帝王切開の場合は、今回も帝王切開となるハードルが通常の妊婦と比べて相当低いことになります。
日赤でのVBAC成功率
日赤の資料によると、帝王切開後に経腟分娩にトライした場合、一般的には成功率は70%前後と報告されているとのことです。
広尾・日赤の実績としては、前回帝王切開の妊婦のうち、経腟分娩が約50%、陣痛発来後や破水後の緊急帝王切開が約25%、予定帝王切開が約25%でした。
つまりVBAC成功率は50%と、それほど高くはありません。
この実績は「何かあったらすぐに帝王切開に切り替えてリスクを防ぐ」と理解できるので、わたしにとっては安心材料になりました。
VBACを考えるなら、絶対に妊婦に無理をさせるような施設は選びたくなかったからです。
VBACの生命線は緊急帝王切開までの時間
以前、偶然見つけたVBAC経験者の方のブログで、VBAC成功率90%後半という産院が紹介されていたのですが、赤ちゃんの死亡率が数%と異常に高くてゾッとしたことがあります。
リスクが高いので、ダブルセットアップ(緊急帝王切開できるよう医師がスタンバっている)に近い環境がなければ、どれだけ辛くても躊躇なく反復帝王切開を選んでいました。
過去に裁判になった別病院のケースだと、子宮破裂後40分後の緊急帝王切開でも赤ちゃんは脳障害の末に亡くなっています。
日赤では分娩室内に手術室があるので、何かあればすぐに帝王切開に切り替えることができる体制であることはとても大事でした。
ちなみに日赤以外だと、昭和大学病院も緊急帝王切開には10分以内に対応できるそうです。
こういった緊急体制についてはVBAC以外の妊婦さんにとっても重要なので、病院選びの参考にしていただければと思います。
(3)へ続く。
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